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こんな方はぜひご相談を

血糖値が高いと言われた

健康診断や医療機関での採血時に「血糖値が高い」と言われた場合、あまり心配のないケースから、速やかに医療機関の受診が望ましいケースまで、ばらつきが生じることが予想されます。その理由は、「血糖値が高い」と判断している医療従事者側に耐糖能異常に対する認識や知識に大きなばらつきがあるからです。

健康診断では、空腹時の血糖値を測定しますが、空腹時血糖値が軽度に上昇(100~109mg/dl)していた場合、既に注意が必要な状態になっている人もいれば、心配がないと考えられる人もいます。もっと言えば、空腹時血糖値が100mg/dlに満たなくても注意が必要な人もいれば、110mg/dlを超えていてもあまり心配がない人もいます。この違いは、その方の体型(腹部内臓型肥満の合併の有無など)、体重の経時的な推移、高血圧や高中性脂肪血症・低HDL-コレステロール血症の合併の有無などにより、心血管病のリスクなどに大きな違いがあるためです。
健康診断でよく測定されるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値についても同様のことが言えます。HbA1c値が軽度に上昇(6.0~6.4%)していた場合、既に注意が必要な状態になっている人もいれば、心配がないと考えられる人もいます(図1~6)。

DECODA Studyにおける各診断区域の平均HbA1c値

図1

DECODA Studyにおける新たに糖尿病と診断された被験者の血糖値分類

図2

糖尿病、早期発見のために~健診の問題点

図3

DECODA StudyにおけるOGTT2時間値200mg/dLに対応する空腹時血糖値

図4

食後の血糖値の関係について

図5

舟形町研究における生命分析(心血管イベント)について

図6

このように、軽度の血糖値の上昇に関して医学的な判断を下すことは簡単ではありません。空腹時血糖値が多少高くても「このくらいなら大丈夫」と言われることも多いようですが、身内に糖尿病がいたり、若い頃より10kg以上体重が増加していたり、血糖値の上昇以外に、肝機能障害や高血圧、高中性脂肪血症・低HDL-コレステロール血症などを合併している方はぜひご相談ください。

初めて糖尿病と診断された

糖尿病は2016年の時点で既に糖尿病が強く疑われる人、糖尿病の可能性が否定できない人を合わせると2,000万人と報告されています。
仮に日本糖尿病学会が認定している日本糖尿病学会認定糖尿病専門医(平成25年8月時点で4,760人)だけでこれらの患者様の管理をさせていただくとすれば、1人の日本糖尿病学会認定糖尿病専門医が4千人を超える患者様を診なければいけない計算になります。当然、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医だけで診させていただくのは現実的には不可能です。

糖尿病は基本的にほとんど症状を伴わない病気です。患者様が何らかの症状に困って糖尿病の治療を開始するのは実際あまり多くありません。健康診断などで血糖値が高い、あるいはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値が高いなど、検査値の異常を指摘されて受診される場合がほとんどです。確かに糖尿病は基本的にすぐに具合が悪くなるような病気ではありませんし、合併症が出現して患者様の生活の質(QOL)が低下するまでには時に2、30年かかる場合もあります。しかし、本当に糖尿病に関連する合併症の出現、進展の抑制をするためには、その何ら症状のない、元気そのもののうちから厳格な管理を継続していかなければならないのです。

そのような糖尿病の本質を理解し、時に2、30年先を見据えた視点を持ち、患者様の日常生活にも配慮しながら、糖尿病を包括的に治療していくのが日本糖尿病学会認定糖尿病専門医の役割であると考えます。糖尿病と診断されたばかりの症状がほとんどない時期に、しっかりした糖尿病の知識を身につけることがその後の長い糖尿病療養にとってとても大切です。

もう一つ、大事な理由があります。日本においてはほとんどが2型糖尿病と言われる原則的にはインスリン非依存性(インスリン治療が必ずしも必要ではない、1型では必要不可欠)の病態ですが、この2型糖尿病ですら、ギリギリ糖尿病と診断できる早期の時期でも、自分の膵臓からのインスリン分泌は発症前の約50%まで低下していることが分かっています(図8、9)。診断後早めに治療を行わないと、2型といえどもやがてはインスリンの分泌が高度に低下し、場合によっては一生インスリン治療を継続しなければならなくなってしまいます。

以上述べてきたように、糖尿病の治療は診断されて初めて治療に入る時が重要です。この時期に対応を誤ると血糖コントロール困難な糖尿病へと移行してしまう恐れさえあるのです。何事も初めが肝心です。病気について十分に説明を受け、治療方針が決まった後なら継続的な日本糖尿病学会認定糖尿病専門医への受診を必要としません。

2型糖尿病歴と膵β細胞機能低下について

図8

2型糖尿病の自然歴

図9

治療開始後どんどん体重が増加している

血糖値が高いということは、血管の中を流れている血液中のブドウ糖濃度が正常範囲を超えて上昇しているということです。インスリンの作用不足(必ずしもインスリンの分泌低下とは限りません)の結果、血液中のブドウ糖をきちんと利用できなくなっている状態です。ここにインスリン分泌を高める薬やインスリン注射などを使用すれば、それらの作用で血管の中のブドウ糖は強制的に血管外の細胞側に取り込まれることになります。確かに血糖値は低下するかもしれません。ただし、これでは無理矢理血管の中のブドウ糖を細胞に取り込ませただけで、細胞に取り込まれた過剰なブドウ糖は中性脂肪に変わるなどして体重増加、肥満を引き起こす結果に繋がります。体重が増加すると、それ自体が血圧の上昇、中性脂肪値の増加やHDL-コレステロール値の低下、肝機能障害やタンパク尿の増加、腎障害の進展、認知症リスクの増加やがんリスクの増加などに繋がり、せっかく血糖値を下げても却っていろいろなリスクが増加することに繋がってしまいます。食事療法や運動療法が実施困難な患者様では、血糖値を下げようとすると体重が増加してしまう、体重増加を来さないように治療すると血糖値が下がらない、というジレンマに陥ることになります。がっかりされるかも知れませんが、食事療法や運動療法無くしては糖尿病治療はできないということです。

もしあなたの体重が、治療開始後どんどん増加しているようなら、それは健康に近づく、という意味での治療としてはよくないかもしれません。ただし、他の所でも述べましたが、SU剤(オイグルコン、ダオニール、アマリール、グリミクロンおよびそれらのジェネリック薬剤)の使用やインスリンの投与により、体重がどんどん増加している患者様がいらっしゃるのも事実(POINT 3 今までの治療で改善がみられない方へ 図10、11参照)です。SU剤内服中あるいはインスリン注射を実施中で体重が増加している患者様はぜひ、医師にご相談ください。

インスリン量がどんどん増えていく

食事、運動療法に加えて、経口糖尿病薬を用いても血糖コントロールの改善がみられない場合、たとえインスリン依存状態になくともインスリン治療が選択される場合があります。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医でもいわゆる“糖毒性”と呼ばれるような慢性の高血糖状態においては、たとえインスリン非依存状態でもインスリン治療を選択します。むしろ、このような状態ではインスリンを導入して、早期の状態改善を図ります。一番良くないのは、慢性の高血糖で長期に渡り血糖コントロールが不良なのにも拘わらず、インスリンを導入するなどせず、漫然と同じ治療を継続してしまうことです。一方、一旦インスリンを導入したにも拘わらず血糖コントロールが改善しない場合、医療従事者側も「こちらとしては正しく治療を提供している。これで良くならないのは患者様の食事療法に問題があるからだ。」と決めつけ、血糖値の低下がみられるまで、ひたすらインスリンを増量してしまうケースがみられます。やむを得ない場合もありますが、このようにインスリンがどんどん増量されている患者様の中には、そもそもインスリン治療が正しくない例がある、と言われるとびっくりする患者様もおられるでしょう。そのような患者様においては、インスリン治療を経口糖尿病薬、あるいはGLP-1受容体作動薬による治療に変更することで、血糖コントロールの改善が得られる可能性もありますPOINT 3 今までの治療で改善がみられない方へ 図13参照)。2型糖尿病の場合、たとえインスリン治療が必要だとしても、経口糖尿病薬を併用するなどして、必ずしもインスリンを増量しない方が、血糖コントロールが改善するケースはよく経験されます。インスリンはきちんと使用しないと、潜在的な低血糖が空腹感を誘発し、それが間食や過食などの食行動の原因になることがあるため注意が必要です。血糖コントロールが改善しないためにインスリン量がどんどん増加し、血糖コントロールが改善しないばかりか、体重だけがどんどん増えていくような場合には特に注意が必要です。

空腹感が強い

あなたが食事療法を遵守できないのは、今受けている治療が原因の一部であるかもしれません。特に、SU剤(オイグルコン、ダオニール、アマリール、グリミクロンおよびそれらのジェネリック薬剤)内服中やインスリン治療中の患者様においては、一度はその可能性を疑う必要があります。いずれの薬剤も正しくない使用により強い空腹感が誘発され、血糖コントロールの悪化や体重増加の原因となり得ます(図10、11、POINT 3 今までの治療で改善がみられない方へ 図11、12参照)。

SU薬がもたらす低血糖による悪循環

図10

インスリンがもたらす低血糖による悪循環

図11

頻回に低血糖を起こす

低血糖を患者様が自覚し、その発症に気付いていればまだしも、低血糖は時に無症状なこともあり注意が必要です。他人の介助を要する、あるいは意識障害を伴うような重症な低血糖は、却って心血管病による命を落とすリスクを増加させることが明らかになっています(図12)。

重症低血糖と大血管・細小血管イベントのリスク関係

図12

軽度でも度々無自覚的に繰り返される低血糖は高齢者における認知症の発症、進展リスクになっていることも判明しています。今や、糖尿病治療において重要視されている事項は、血糖値の低下やHbA1c値の改善以上に、低血糖を起こさない治療を行うことなのです。特に高齢者においては、低血糖による悪影響が大きいため、日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で、血糖コントロールを行う際にHbA1c値の下限を設定することで、以前よりもより低血糖を回避することに重点を置く治療を推奨しています(図13)。

高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について

図13

もしあなたが、空腹感や脱力感・倦怠感、あるいは明らかにそれと分かる手の震えや冷や汗、動悸などの低血糖を度々起こしているようであれば、現在の治療は正しいとは言えません。ぜひ一度にご相談ください。(進行した自律神経障害を持つ患者様、短期間に低血糖を繰り返した後、あるいは高齢者(図14)などでは、典型的な低血糖症状が出現しないことも多い。)

高齢者に起こる低血糖の特徴

図14

尿のアルブミンを測定してくれない、眼科の受診の案内をされない(歯科の受診の案内をされない)

受診してから一度も眼科の受診を案内されていない方、尿中アルブミン検査(図15~17)を実施されていない方(ただし、既に顕性蛋白尿になっている場合には測定されない場合もあります):糖尿病は常に合併症を意識して診療する必要があります。主治医が糖尿病を重視していない可能性があります。

日本人2型糖尿病患者における糖尿病腎症の合併率

図15

アルブミン尿・eGFRのレベルによる死亡率

図16

アルブミン尿とeGFRの低下は心血管イベントならびに腎イベントの重要なリスク要因である

図17